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青森地方裁判所鰺ケ沢支部 昭和51年(ワ)30号 判決

主文

一、原告の請求を棄却する。

二、訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一、当事者の求めた裁判

一、原告

1  被告は別紙物件目録記載の物件(以下本件物件という。)につき売買、贈与、質権設定、賃貸その他抵当権の実行を妨げる一切の行為をしてはならない。

2  被告は本件物件を別紙建物目録記載の建物(以下本件建物という。)に搬入せよ。

3  訴訟費用は被告の負担とする。

4  第2項につき仮執行の宣言。

二、被告

主文第一、二項同旨。

第二、当事者の主張

一、請求原因

1  本件物件は訴外鰺ケ沢地区チツプ協同組合(以下訴外組合という。)の所有である。

2  訴外組合は昭和四六年七月一〇日原告と訴外商工組合中央金庫との間の債務保証契約に基づき原告が将来取得することあるべき求償権を担保するため、本件建物と共に本件物件に工場抵当法二条による元本極度額二七五〇万円の根抵当権を設定した。

3  被告は昭和五〇年六月二三日本件物件を本件建物から持ち去り現に占有している。

4  よつて原告は被告に対し請求の趣旨記載どおりの判決を求める。

二、請求原因に対する認否

1  請求原因事実第1項は否認する。

2  同第2項は不知。

3  同第3項は認める。

4  同第4項は争う。

三、抗弁

仮に本件物件が訴外組合の所有であつたとしても、被告は昭和五〇年六月二三日本件物件を占有していた訴外須藤佐右衛門(以下訴外須藤という。)から本件物件を同人のものとして買受けその引渡しを受けたものでいわゆる善意取得した。

四、抗弁に対する認否

抗弁事実は否認する。

五、再抗弁

1  被告は本件物件につき平穏公然に占有を取得したものではない。

2  また被告は長年鰺ケ沢町に住んでおり、かかる狭い町で訴外須藤の素姓を知らないはずがなく、また本件物件が訴外組合の所有であることについて知らないはずがない。

3  被告は古物営業者であり、古物営業法第一六条によると古物を買受けるとき相手方の住所、氏名、職業等を確認することを義務づけられており、被告はこれら住所、職業の確認を怠たつており、被告が本件物件を訴外須藤の所有と信じたことに過失がある。

六、再抗弁に対する認否

再抗弁事実は全て否認する。

第三、立証(省略)

別紙

物件目録

一、日本度量昭和四五年四月製造のトラツクスケール(鉄製) 一台

建物目録

西津軽郡鰺ケ沢町大字赤石町字砂山一三九番地一

家屋番号 一三九番一

一、木造亜鉛メツキ鋼板葺平家建工場

床面積 五四三・二三平方メートル

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